アグリガンス
2015年09月30日|原核生物|温泉, 滑走, 複雑系マシナリー
学名
Chloroflexus aggregans
クロロフレクサス・アグリガンス
分類
細菌・クロロフレクサス門 クロロフレクサス綱
サイズ
長さ 約3 μmの桿状細胞が一列につながった長さ80~400 μmの糸状体
特徴
最古の光合成生物のひとつ 長い糸状体が直線的な滑走運動する
説明
緑色糸状性光合成細菌クロロフレクサス・アグリガンスは、65℃でよく増殖する好熱菌で、毎秒約3 μmという高速で直線的な滑走運動をする。酸素を発生しない古いタイプの光合成をするだけでなく、酸素呼吸もできる。
出現場所
広く温泉から見つかる。40~70℃の弱アルカリ泉を好む。光が当たり、65℃程度の温泉水が流れているところでは、アグリガンスを主としたオリーブグリーン色の細胞集塊が観察されることがある。その厚みは、5 mmにもなることから、このような細胞集塊は「微生物マット」と呼ばれる。
メモ
アグリガンスは、滑走運動によって長い糸状体が絡み合い緑色の集合体を形成し、微生物マットの形成や維持に寄与していると考えられている。アグリガンスの滑走運動は、光や酸素に応答することから、微生物マット内でも活発に移動しているのではないだろうか。
(首都大学東京 春田 伸)